肛門周りにできる腫瘍には、代表的なもので良性の肛門周囲腺腫(58~96%)や、悪性の肛門周囲腺癌(3~21%)、肛門嚢腺癌(12~17%)などがあります。

肛門周囲腺腫は未去勢の男の子に多く、男性ホルモンの分泌過多が影響していると言われています。去勢手術を実施することで、肛門周囲腺腫が縮小し、無くなってしまうこともあります。しかし、表面が潰瘍になって出血している場合や、去勢手術に反応しない場合には、腫瘍の切除を行います。

悪性の腫瘍の場合は手術が第1選択になりますが、放射線療法などを併用する場合もあります。

いずれの手術においても、術後の出血や感染・傷の癒合不全、肛門括約筋の損傷による便の垂れ流しといった合併症のリスクがあります。

 

当院で実施した肛門周囲腫瘍の手術例です。

手術前は腫瘍の表面がグジュグジュして出血いていました。肛門は腫瘍によって右側に押されています。

術後10日目の抜糸した時です。傷の治りも良好で、排便のトラブルもありませんでした。

排便の問題もなく、飼い主様にも大変満足していただけました。