最近は本当に長生きする猫ちゃんが増えました。多くの猫ちゃんが健康に長生きするために、健康診断は大切なものです。当院では1月・2月を猫ちゃんの健康診断月間として、健康診断(にゃんこ健診)と猫ドック(にゃんこドック)をキャンペーン価格で実施しております。詳細はのちほど説明しますが、まずは猫ちゃんの健康診断として重要な病気について説明します。

健康診断の対象になる疾患の多くは慢性疾患と呼ばれています。慢性疾患の多くは『治す』ことが困難で、『進行を抑える』といったコントロールをしながらうまく付き合っていくことが治療の主軸になります。早期発見により早い段階から『進行を抑える』ことができれば、より良好な状態で維持ができます。また、命にかかわるような重篤な状態を回避できることもあります。

慢性腎臓病

高齢の猫ちゃんを飼ったことがある方であれば、慢性腎不全という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
慢性腎不全とは慢性腎臓病により腎臓が機能不全を起こした状態で、高齢の猫ちゃんでよくみられる病態です。
慢性腎臓病の猫ちゃんたちは脱水状態になりやすいので定期的に点滴に通院しつつ、腎臓病の進行を抑える治療をしていきます。

☆血液検査や尿検査で診断します。

膀胱結石

おしっこにミネラル成分が結晶化した砂が出る様になり、砂が固まると石になります。
石が膀胱粘膜を刺激することで、膀胱炎になってしまいます。また砂が尿道などの管に詰まってしまうと急速に腎臓が悪くなり、放っておくと数日で命を落とすことになります。

☆尿検査やエコー検査、X線検査で診断します。

糖尿病

初期の糖尿病では猫ちゃんはいつもよりご飯を食べるようになります。
この状態は一見すると非常に調子が良いと感じられるかもしれません。しかし、高血糖の状態が持続すると様々な合併症を引き起こし、命に係わる危険性も増してきます。
早期発見で重篤な合併症などを回避できることは非常にメリットの大きなことだと思います。

☆血糖値や尿検査で診断します。長期的な血糖値はフルクトサミンで評価します。

心筋症

猫ちゃんの心臓病の代表である心筋症は、聴診上の雑音もなく、レントゲン上の変化もないまま進行します。
ある日突然に血栓症や胸水症、肺水腫、といった致命的な経過を見せることが多い疾患で、場合によっては突然死を起こすこともある文字通りのサイレントキラーと言えます。この疾患を早期に見つけ出す一つの方法に血液検査(NT-proBNP)があります。
心筋症は若齢のうちに発症していることも多いです。若いうちでも健康診断としてNT-proBNPをチェックしておくことは大切だと思います。

☆NT-proBNPでチェックします。診断にはエコー検査などが必要になります。

高血圧

ヒトでも測定するまで気づけないのが高血圧です。
高血圧は網膜剥離や腎障害、心臓の負担など様々な臓器に影響を及ぼします。他の臓器の疾患を併発する前に、高血圧を見つけて治療することが重要です。
高血圧の原因として糖尿病や腎不全、甲状腺機能亢進症などが潜んでいることが多く、これらの疾患についても同時に検査する必要があります。

☆血圧測定で診断します。併せて尿検査、血液検査、甲状腺ホルモンの測定が推奨されます。

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンという『元気をつかさどるホルモン』が過剰に分泌される病気です。
このホルモンが過剰に分泌されると、イライラしたり、必要以上にエネルギーを消費して痩せてしまったりします。
また、頻脈や高血圧といった循環器に対する症状を伴うこともあり、慢性経過すると心臓の筋肉が分厚く肥大して心筋症のような状態になってしまいます。

☆T4(甲状腺ホルモン)を測定することで診断します。

にゃんこ健診&にゃんこドックについて

当院では、上記の疾患を総合的に評価するために、『にゃんこ健診』、『にゃんこドック』を実施しております。様々な疾患がみられ始める8歳を超えたねこちゃんたちには特にお勧めです。
「まだ8歳になっていないけど健康診断してあげたい!」という方のために、若齢でも重要な項目を組み込んだ『にゃんこ健診ライト』、『にゃんこドックライト』も用意しました。
「気になるけど、けっこう費用が高いなぁ」という方は、さらに項目を絞った『ちょこっとにゃんこ健診』をしてみてはいかがでしょうか?

1月・2月は『にゃんこ健診&にゃんこドックキャンペーン』と題して、割引価格で健康診断を実施しています。価格については獣医師法によりHPに掲載できませんので、お電話でお問い合わせ願います。
3月の後半からはわんちゃんのフィラリア検査が始まり、当院においても混雑が予想されます。その前に猫ちゃんの健康診断に是非ご来院ください!!

にゃんこ健診

にゃんこ健診
尿検査、UPC※1、便検査、血圧、詳細な血液検査、BNP※2、SDMA※3、T4※4

にゃんこ健診ライト
尿検査、UPC※1、便検査、簡単な血液検査、BNP※2

ちょこっとにゃんこ健診
尿検査、簡単な血液検査

にゃんこドッグ

にゃんこドック
にゃんこ健診+腹部エコー検査、胸部・腹部X線検査

にゃんこドックライト
にゃんこ健診ライト+腹部エコー検査、胸部・腹部X線検査

※1 UPC 尿蛋白の精密な検査
※2 BNP 心臓の血液検査
※3 SDMA 早期腎臓病の血液検査
※4 T4  甲状腺ホルモン

尿検査

尿蛋白
尿潜血
尿糖
結晶
ストラバイト
シュウ酸カルシウム など
尿比重など

血液検査

赤血球数
血中蛋白
肝臓
腎臓
膵臓
黄疸
電解質など
画像検査 腹部エコー検査 お腹の中に腫瘍や泌尿器の結石ができていないかなどを検査します。
胸部レントゲン検査 肺炎や肺の腫瘍、胸水や心臓の異常がないかなどを検査します。
腹部レントゲン検査 お腹の中に腫瘍や泌尿器の結石ができていないかなどを検査します。
血圧測定 人間でも自覚症状の出にくい高血圧がないか、検査します。
血液検査 SDMA 初期段階の腎障害を検査します。
甲状腺ホルモン測定 甲状腺機能亢進症がないかを検査します。
心臓バイオマーカー(BNP) 心筋症などの心臓病がないかを検査します。